コールセンターでは敬語の使い方の他に、会話の主導権を握るコツも身につく

会話

コールセンターで働き始めると、ビジネスにふさわしい「正しい」敬語の使い方が身につきます。

コールセンターの研修では、「(誤)させていただいております →(正)しております」と言った、社会人歴の長い人でも間違えやすい敬語の使い方から、「(誤)私のほうで担当いたします →(正)私が担当いたします」と言った、生活の中でよく耳にする敬語の使い方まで、正しい敬語を使うよう言葉遣いの勉強を行います。

正しい敬語の使い方は、コールセンター以外の仕事に就いた時も役に立つ場面が多いです。

身につけておいて損はありません。

そして、コールセンターでは敬語の使い方以外に、もう一つ会話において重要なスキルが身につきます。

それは会話の主導権を握るコツです。

一般的なコールセンターのイメージとして、問い合わせ入電に対して応対をしていくだけで、会話の主導権はお客様にあるように思われがちです。

しかし、実際のところは、オペレーターが上手く会話の主導権を握り、スムーズに応対をこなしています。

では、なぜコールセンターでは、会話の主導権を握るコツが身につくのか?

今回の記事では、こうした点に焦点を当てて詳しく述べていきます。

早く電話を終わらせるために、必要なことだけを聞き出す能力が身につくから

握手

コールセンターに電話をしてくるお客様の中には、時折関係ない話や、業務上関係あるけれども、今は聞く必要のないことを話してくる方もいます。

例えば、通販コールセンターの受注業務でお客様の住所を聞いている時に、突然「そういえば他の会社では、似たような商品がお宅の会社より1,000円も高いのよ〜知ってた?」など言われた時。

プライベートの世間話であれば付き合っても良いのですが、仕事である以上早く終わらせたいので、どうにか上手く流す必要があります。

 

ここで、相手がお客様だからと言って下手下手に出て、相槌などを打っていると、お客様の話はどんどん関係ない方向へ行ってしまいます。

結果的に応対時間が長くなってしまいます。

あまり電話に出たくない時などは、あえてお客様の世間話に適当に付き合って、1本の入電応対時間を伸ばしてサボるのもありです。

ただ、世間話などに付き合うのもそれはそれで疲れます。

疲れている人

そのため、早く電話を終わらす(必要なことだけを話させる)ために、オペレーターが会話の主導権を握り、ササっと電話を終わらせてしまいます。

具体的な方法として、以下のようなスキルを用います。これらは電話の応対本数をこなしていくうちに自然と身につきます。

  • 機嫌を損ねないように話を遮断して聞き流すスキル
  • 話を聞き流しながら必要事項だけを伺うスキル

機嫌を損ねないように話を遮断して、且つ必要事項だけを伺うスキル

お客様が関係ない話を始めても、それに被せて必要事項を聞こうとすると、お客様は不快に思い最悪クレームに発展しかねません。

そのため、一旦「さようでございますか〜」と受け止めながらも、一瞬間を置いて「それでは、◯◯についてお伺いいたします」と会話の主導権をこちらに移します。

これは文字にすると簡単そうに見えます。

ですが、実際の対応中だと中々"適切なタイミング"を掴めません。

 

しかし、コールセンターで幾度となく応対回数を重ねていくうちに、絶妙なタイミングを掴めてくるようになってきます。

話の主導権をこちらに移す、切り返しのタイミングです。

 

この「機嫌を損ねずに話を遮断する」切り返しのタイミングを掴むスキルが身につくと、日常生活の会話においても、話の主導権を持っていけるようになります。

日常会話でも、話し相手が友人や同僚であるからと言って、相手の話を遮断するのは容易ではありません。

友人や同僚の話を遮っても、お客様のように怒ることはありません。

しかし、きっと心の中で「なんかこの人、自分の話ばっかりだから話しててつまらないな〜」と思います。

 

でも、コールセンターでの応対のように、一旦「へぇ〜そうなんぁ〜」と受け止め、「そういえば私もこんなことがあってね…」と絶妙なタイミングで主導権をこちらに移せるようになると、相手は不快感を感じません。

スムーズに会話の主導権を握ることができるようになります。

会話の主導権を掴む練習が何度もできる

会話

日常生活では、会話の主導権を掴めない人は、ずっと掴めないままの人が多いです。

なぜなら、普段会話の主導権を掴みなれていない人が、無理に主導権を握ろうとすると、必ずどこかでボロが出て、相手に不快感を負わせたり、場がしらけたりします。

一度こうした失敗を味わうと、再度主導権を握ろうとは中々思いませんよね。

 

しかし、コールセンターでは、何度も主導権を握る機会があります。

加えて、相手は二度と話すことのない顔も見えないお客様です。

失敗して「このオペレーターは嫌な奴だな」と思われたところで、何も痛くありません。

こうして何度も「タイミングを掴んで会話の主導権を自分に移す」練習をしていくと、次第にコツが掴めて、日常生活でも容易に主導権を握れるようになってきます。

もちろん、ビジネス敬語もしっかり身につく

3人のビジネスマン

会話の主導権を掴むコツだけではなく、もちろんビジネス敬語も身につきます。

冒頭で述べたように、コールセンターでは「本当に正しい敬語の使い方」を研修で教わります。

また、センターによっては、定期的に講習も行われます。

 

コールセンターは他の職種以上に正しい敬語の使い方に敏感です。

言葉遣いのプロとして思われているイメージがある上に、お客様とは音声のみでコミュニケーションを取ります。

そのため言葉遣いで全てを判断されてしまうのです。

 

正しい敬語を身につけると、世の中の多くの人が、実は間違った敬語を使っているのがわかります。

また、コールセンター以外の仕事に就いた時も、電話対応が上手と評価されやすいです。

なぜなら、正しい敬語を使える人は珍しいからです。

40代以上の中堅・ベテランビジネスマンであっても、敬語の使い方を間違えている人は多いです。

こうした中、正しい敬語を使える人は、実社会の様々な場面においてチャンスが増えます。

アポ取りの電話対応を任されたり、営業先の連絡をまかされたり。

ささいな事ではありますが、こうした小さなチャンスで結果を出していくと、徐々に人間的評価が高まっていきます。

そのためコールセンターという仕事は、「正しい敬語の使い方」と「会話の主導権を握るコツ」という、プライベートや他の仕事でも役に立つスキルを身につけられるのです。

-コールセンター