コールセンターの求人を見ていて、多くの方が疑問に思うことの一つが、仕事内容に記載されている「台本を読むだけの簡単な仕事です♪」という内容。
例えば、以下の求人もそうです。
コールセンターには、確かに台本が存在しています。
これは、コールセンターには幅広い内容の入電があるため、オペレーター(特に新人)が「何を案内して良いのかわからない」という状態にならないよう、各入電内容に合わせて「何を案内すべきか」が記載されている台本を用意しているのです。
コールセンターでは、この台本のことを「トークスクリプト」あるいは「トークフロー」と呼びます。
例えば、「契約している住所を変更をしたい」とお客様から入電があった場合、以下のような台本ページを見ながら話を進めていきます。
しかし、ここで疑問に浮かぶのが、「本当に台本通りに読むだけで話が進むのか?」という点。
実際のところ、まさにその通りで、お客様が一語一句台本通りに言葉を発してくれることはありません。
人間ですから当然ですよね。
ただ、言い回しや言葉は違えど、内容としては台本通りに進むことが殆どです。
なぜなら、大抵のお客様は受け身だからです。
例えば上のように「契約住所を変更したい」というお客様の場合、お客様は「契約住所を変更するためには、まず何から伝えれば良いのか」を知りません。
そのため、殆どの対応は"オペレーターが契約住所変更にあたって必要なことを順番にお伺いして、お客様がそれに答えていく"という形になります。
基本的に会話の主導権はオペレーター側にあるということですね。
こうした理由により、コールセンター求人の仕事内容には「台本通りにご案内するだけ」と記載されていることがあるのです。
ただ、先述したように、中には突如思い出したように違う内容の話をするお客様や、中には台本にないイレギュラーな問い合わせをしてくる方もいます。
今回の記事では、そういった問い合わせがきた場合、オペレーターはどのように対応するのかを紹介します。
話があっちこっちに行くお客様の対応は、次々と台本のページを変えて読む
お客様の中でたまにいらっしゃるのが、話があっちこっちに進む人。
例えば、「契約住所を変更したい」という入電で、新しい契約住所を聞き終わったと思ったら、「そういえば、◯◯ってサービスあるじゃないですか?あれに今加入できますか?」というように話が変わるお客様、実際にいます。
そういった時は、今度はサービスについての台本ページを開いて、台本を読みながら加入の手続きを開始します。
こうして話があっちこっちに行くお客様の対応は、次から次にいろんなページを開いていくので大変です。
なので、該当のページをすぐ開けるように、台本には分かりやすいように付箋を貼っておきます。
そうしておけば、どんな内容の話に流れてもお客様を待たせることなく案内を開始できます。
お客様をコントロールして一つずつ手続きを終わらせていく
ただ、あまりにも話があっちこっちに変わるお客様を頑張って対応すると、「先ほどの話はどこまで案内したんだっけ…?」という状態になりかねません。
そのため、あまり話が変わりすぎるようであれば、「お客様、まずは◯◯の案内からよろしいでしょうか?」と一言声をかけます。
そうすると、大抵のお客様は「ああ、ごめんなさいね」と言って、オペレーターが伺う質問を順番に一つずつ答えてくれるようになります。
台本に載ってないイレギュラーな問い合わせをしてくるお客様には臨機応変さが求められる
中には、台本に載っていないイレギュラーな問い合わせをしてくるお客様もいます。
例えば、もし通販会社で働いるとしましょう。お客様の中には、以下のような商品詳細を聞いてくる人もいます。
「この高圧洗浄機で、お風呂場のカビって落ちますか?」
当然、カビを落とせるかどうかは、カビの進行具合にもよりますし、床タイルの種類によっても異なるでしょう。
こうした一概に答えが出せない質問をされた時は、まさに今上で挙げた疑問を返して話を流す臨機応変さが求められます。
例えばこのように返します。
こうした臨機応変な返しは、一見簡単に思えますが、入ったばかりだと中々言葉が出てこないので難しいです。
ただ、もしどのように返してよいかわからない場合は、一旦保留にして手を挙げれば社員の方が来てくれて、対応方法を教えてくれます。
また、こうした専門的な話になった場合は、メーカーからの折り返しという方法も存在するので、あまり心配はいりません。
ただ、上記のように臨機応変な対応ができるようになった方が、一人前になれた気がして仕事が楽しくなります。
というように、ある種の達成感が生まれるので、より仕事にやりがいを見出せるようになるでしょう。
早ければ3ヶ月程度で台本はいらなくなる
台本はどのコールセンターにも存在しますが、3ヶ月以上働いているオペレーター達は殆ど台本を読まないで対応しています。
なぜなら、何度もお客様の対応をしているうちに、自然と台本の内容が頭に入るからです。
早い人だと1ヶ月程度、遅くても3ヶ月もすれば台本を開く機会は殆どなくなります。
台本を読まなくても対応できるようになってくると、コールセンターの仕事は非常に楽になってきます。
最初の頃のような新鮮さはなくなりますが、どのような言い回しで、どのような順番で案内すると分かりやすいのかを自分で工夫しながら考える余裕ができるからです。
また、他のオペレーターの言い回しを聞いて「上手いな」と思ったら自分も使ってみたり、自分のオリジナルの言い回しを他のオペレーターが真似することもあります。
台本に書かれていることは、あくまで基本中の基本で、使うのは最初だけです。
そして、コールセンターで働く面白さは、台本が不必要となり、本当の意味で一人前になってから感じられるのです。