「コールセンターで働いてみたい。でも、そもそも電話での会話が得意ではない(あるいは口下手である)」と懸念を感じている人は少なくないと思います。
私自身、コールセンターで働き始めて5年以上経ちますが、当初は電話での会話に全く自信がありませんでした。
元々、家族や慣れ親しんだ友人以外からの電話に出るのが億劫で、知人程度からの着信は、一旦見送って気が向いたら掛け直していたほどです。
電話よりも、時間を使って返事内容を考えられるメールやラインの方が気が楽でした。
そんな私でもコールセンターの仕事を5年以上も続けられ、今では正社員にまでなれました。
ここまで長くコールセンターを続けられた理由は、まず一番にコールセンターは口下手でもできる仕事だったからです。
コールセンターの仕事は、悪い言い方になりますがマニュアルに頼る部分が多いです。マニュアルに書いてあるトークフローさえ読むことができれば、大抵の応対はこなせます。
(コールセンターのマニュアルにあるトークフロー。お客様の応対方法が一語一句細かく記載されている)
つまり、対応方法を暗記する必要がないのです。また、オペレーター業は臨機応変にこなすイメージが強いですが、多くの入電内容はパターン化されたものばかりです。
この辺りのことは、「コールセンターの仕事で覚える内容は多くない」のページにも記載した通りです。
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コールセンターの仕事で覚えることは多くない。必要なことはだた一つ
コールセンター業務は、対応する問い合わせの範囲は広いですが、覚えること自体は多くはありません。 コールセンターに入社すると、最初にとてつもなく分厚いマニュアルを渡されるので驚くかと思います。しかし、マ ...
しかし、「コールセンターの仕事が向いていない」と感じて、研修中・OJT中に自ら辞退する人、また社員から「不採用」を宣告されてしまう人もいます。
(コールセンターでは、オペレーターとして働き始める前に研修とOJTが行なわれます。詳しい内容については、コールセンターの研修内容の記事、コールセンターのOJT内容の記事を参考にどうぞ。)
確かに、私自身が研修やOJTの講師を勤めてきた経験から感じるのは、研修中やOJT中に辞めた人・不採用になった人には、もともと口下手な人が多かったということです。
しかし、口下手な人でも、「ある3つのこと」を意識しておけば、必ずコールセンターで働けます。
逆に言えば、研修中・OJT中に辞めた人、不採用になってしまった人の共通点は、殆どが「ある3つのこと」を意識できていなかったからです。
前置きが長くなりましたが、今回のページでは、この「3つのこと」を記載していきます。
言われてみれば、「そんなことか」というような内容ばかりですが、是非これからコールセンターの仕事を始めようと思っている方は意識してみて欲しいです。
「ハアハア」する口呼吸音をできるだけ出さない
口下手や電話中の会話に行き詰る人など、会話全般を得意としない人に見られるのが、「ハアハア」という口呼吸音です。
「何を話して良いのかわからない」「何を話そうとしたか忘れた」という緊張状態にあると、人は口呼吸音が出やすくなります。
自分では気づかないこともありますが、口下手な人は結構な割合で口呼吸音が聞こえます。
口呼吸は緊張感を増大させるだけでなく、電話口の相手に不快な思いをさせることもあります。
研修中・OJT中だと、社員や他のオペレーターから直接「口呼吸音が激しい」と注意されることもあります。
注意されると、あまりに口呼吸音を意識しすぎて、今度は頭が真っ白になる人もいます。
こうした悪循環を招く結果になり得るので、普段から鼻呼吸することを意識しておきましょう。
鼻呼吸には、口呼吸よりも効率良く酸素を取り入れ、脳の活性化や心を落ち着かせる効果があります。
普段から鼻呼吸を意識しておけば、少なからず会話への苦手意識は薄れていきます。
噛みやすい人は「ゆっくり話す方がお客様にとって良い」ことを知っておく
コールセンターのオペレーターは、お客様からの問い合わせに、流暢な口調で次々と回答しているイメージがあります。
「お客様、大変お待たせいたしました。それでは最初にお客様のご契約内容を確認して、続いて現在契約可能なサービスについて詳しくご説明いたします…」
こうした長いセリフは、上で述べたように全てマニュアルに記載されているので暗記する必要はありません。多くの新人オペレーターはトークフローを読みながら話しています(ベテランになると覚えている)。
ただ、いくらトークフローに記載されている内容を読むだけとはいえ、口下手な人は「噛んでしまうこと」を懸念してしまうかと思います。
ただ、心配いりません。
コールセンターでは「噛まないくらいゆっくり話す方がお客様にとって良い」とされています。
どのくらいゆっくりかと言うと、上記の
「お客様、大変お待たせいたしました。それでは、最初にお客様のご契約内容を確認して、続いて現在契約可能なサービスについて詳しくご説明いたします…」
というトークを15秒かけて読んで良いです。一度15秒かけて声に出して読んでみて下さい。
思ったよりのらりくらりとした口調に感じるのではないでしょうか。しかし、このくらいゆっくりの方がトークに抑揚をつけやすいですし、お客様は丁寧に話してもらっていると感じてくれます。
噛む心配のある人でも、このくらいゆっくりであれば、心配は軽減されるでしょう。
逆に早く読むのはNGです。早口気味になってしまうと、お客様が不快に感じることがあります。
省略して話してもよい
とは言え、明らかに急いでいるお客様に対してゆっくり話をすると、今度は逆に「早くして!」と言われる可能性もあります。
ただ、お客様が急いでいても話すスピードは変えなくてよいです。トークフローに記載されている内容を省略して話せば良いだけです。
例えば、上記のトークを省略するのであれば
「お待たせいたしました。それでは契約内容確認後、契約可能なサービスをご説明します…」
このくらい余分な贅肉を削り落として良いです。省略前後で意味は同じです。
最初のうちは、どこの部分を削り落とすかに迷ってしまうかもしれませんが、それは仕方ありません。
少しづつ感覚を掴んでいけばいいです。
常に自信を持って堂々としている「風」でいい
最後は、「自信は持たなくていい。自信を持っている風で話せばいい」ということです。
5年以上コールセンターで働いている私でも、お客様から聞かれて今だにわからないことがよくあります。
例えば、当社のサービスを長年愛用していて、社員よりサービスに詳しいお客様から電話をもらうことがあります。
そういった方から「◯◯ってどうなの?」と聞きなれない単語を言われた時。ここで、慌ててはいけません。
私たちオペレーターは「確認いたします。少々お待ちいただけますか?」と言って保留にすることができます。
保留にしたあと目一杯慌てれば良いのです。手を挙げて社員を呼んでアドバイスをもらいます。
もし、わからないことがあって「ええと」「あの」と言ったり、慌てるそぶりを見せてしまうと、お客様は「このオペレーター本当に大丈夫かな?」と心配になります。
心配になったお客様は「◯◯ってことですよね?」と何度も聞き返してきたり、心配になるが故、どんどん疑問が出てくることがあります。
これでは悪循環です。
そのため、わからないことがあっても常に堂々としておけば良いのです。
「話すとボロが出る」じゃありませんが、極力余計な言葉は発さない方が、お客様は信頼してくれます。
表情や気持ちはいくら慌てても良いです。手が震えても良いです。お客様から私たちの表情は見えません。
お客様が安心できるよう「声だけ」堂々とふるまっていれば、スムーズに応対が進みます。
まとめ
今回紹介した3つのことは、実は私自身が先輩オペレーターから教わったことです。
私も最初は、トークが全くのダメダメでした。しかし、上記3つのことを意識しただけで、今では正社員を勤められるようになったほどです。
今回紹介したことは、どのような内容のコールセンターにも共通します。
是非、これからコールセンターでの仕事を始める人は、上述したことを意識して、不安要素を少しでもなくして頂ければと思います。