コールセンターは「クレームが多い」などのネガティブな意見を様々な場所で見かけますが、一方で「楽しいこと」があったり「やりがい」を感じることも多々あります。
個人的にコールセンターで「楽しい」と思ったり「やりがい」を感じる場面は、お客様との応対の中で生まれる瞬間が多いです。
顔の見えないお客様に声のみで対応するからこそ、ハートとハートがバシッと上手く伝わる瞬間があります。
今回の記事では、そんなコールセンターにおける「楽しいこと」そして「やりがい」を、私自身の5年以上にわたるコールセンター経験から述べてみたいと思います。
これからコールセンターで働いてみようと思っている人の参考になれば幸いです。
なお、コールセンターの「クレームの多さ」に懸念を抱いている方は、以下記事を参考にクレームの少ないコールセンターを探してみて頂ければと思います。
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クレームや苦情の入電が多いコールセンターと少ないコールセンター
コールセンターで働こうと思っている人が懸念を抱いていること第1位は「クレームが多そう」というイメージではないでしょうか? コールセンターで働いていると、確かに多かれ少なかれクレームを受電する機会があり ...
お客様を納得させることができた時、何よりも楽しさを感じる
コールセンターにおける入電の8割は簡単な問い合わせです。
そのため、お客様を納得させたり一つのことについて長々話し込むことは滅多にありません。基本的には単純作業の連続です。
ただ、稀に複雑な問い合わせ入電があります。
例えば、携帯電話会社のコールセンターでは、「家族全員がプランAに入るか、プランBに入って家族割を使うのは、どっちがお得か?(例えばです)」など、即答できない問い合わせが入ります。
こうした時、先ずはお客様の携帯電話使用状況と毎月の使用料金を確認した上で、最適だと思うプランを提案します。
お客様にとって最適なプランを出すこと自体は難しくありません。
こうした問い合わせが入ることは会社側もわかっていますので、対応方法は研修でしっかりと習います。
難しいのは、その後の説明です。
例えば、プランBに入って家族割を使う方がお得だと判断した時、「プランBに入る方が安いのでお得ですよ」だけでは、お客様は納得しません(納得する人も少しはいますが)。
「今現在のお客様の使用状況がこうだから、プランBにして家族割を使うと、プランAに入るより◯◯円安くなる」という論理的な説明が求められます。
文字にすると簡単そうに見えますが、これが実際に説明しようとすると初心者には中々難しいです。
お客様は私たちオペレーターよりも会社のサービスに関して素人です。
少しでも不明な点があれば「なぜ?なぜ?なぜ?」と疑問をぶつけてきます。
入社したての頃はこうした複雑な問い合わせに対する案内はちぐはぐなものとなり、苦戦を強いられることになるでしょう。
実際、私自身も説明するものの「はあ…よくわからないけどプランBの方が良いんですね…」と、お客様がしっくりきていないだろう案内をしたことが何度もあります。
ところが、3ヶ月4ヶ月と業務をこなしていくにつれ、複雑な問い合わせに対する内容にも論理的に答えられるようになってきます。
「わかりやすい伝え方」が自分の中で定着していくのです。
そうなると、お客様が「なるほど!」を連発するようになります。
お客様が「なるほど!」「ほうほう」を連発すればするほど、自分の考えが認められたようで嬉しい気持ちになります。
マニュアル通りの言葉ではなく、自分の言葉で話すからこそ嬉しさを感じられるのです。
「こう案内したらわかりやすいのか」「この場合はこういう順序で話してみよう」など、案内における戦略を考えながら話ができるようになってきます。
こうした話術は日常生活においても活かされます。
お客様が十分に納得して終話した後、人助けができたような気持ちにもなれて、自分の成長と充実感を同時に味わうことができます。
お客様の「納得」は「感謝」になる
オペレーターの説明に納得を頂けたお客様は必ず「感謝の気持ち」を述べてくれます。
この時ほど、「顔が見えない相手なのにバシッとハートが伝わる時」はありません。
そして、感謝された時がコールセンターで最大のやりがいを感じる時です。
一般的にはコールセンターなんて"たかが"コールセンターかもしれません。
顔だって見えないですし、近所に住んでいるわけでもないです(コールセンターは全国から入電がある)。
ひいきにしているお店の店員とは、わけが違います。
それでもオペレーターの対応に納得して頂けたお客様は、様々な感謝の言葉を述べてくれます。
「いやあ、◯◯さん(会社名)は最高ですね!これからもサービスを利用させて頂きますので、よろしくお願いします」「すっごくわかりやすい説明でした!ありがとうございます」と言った感謝の言葉、中には「わかりやすい話し方ですね。(働いて)長いんですか?」「すごく良い声をしていますね。」など、個人的な部分に興味を持ってくれる人までいます。
褒められた場合の対応方法を教わることはないので、「いやあ…ありがとうございます」などと言った当たり前の返事しかできないのが悔しいところですが(笑)
顔が見えなくたって「人と人」
コールセンターの仕事は、通常のアルバイト等とは違い、オペレーターとお客様だけの完全に1対1の仕事です。
そのため、もちろんクレームなどを受電してしまった時は腹が立つこともありますが、感謝された時は普通のアルバイトよりも大きな嬉しさを感じられます。
これは鳥肌が立つような嬉しさです。
結局は顔が見えなくたって「人と人」です。
誠意は声から態度として伝わります。
そして、顔が見えなくても本当に寄り添って対応してくれたオペレーターは必ず感謝されます。
私はコールセンターで働くまでは、こうした「お客様からの感謝」を実感することはありませんでした。
それどころか、どのような仕事でも掲げている「お客様第一!」「お客様に感動を与える!」などという体制の良い言葉に対しては「何を綺麗事を言っているんだか」と、全て斜めに見ていました。
しかし、1対1でしかも声だけのコールセンターで初めてお客様からダイレクトに感謝の意を伝えられた時、本当の仕事の喜びを知れた気がしました。
コールセンターは何もかもが全てダイレクトです。
顔が見えないからこそ、怒りも感謝も惜しみなく伝えられます。
やはり私達オペレーターも人間ですから、たとえ立場がアルバイトだろうが社員だろうが感謝されると嬉しいです。
会社云々ではなく、一人の人間として認められたような気になって、嬉しさのあまり涙が出そうになります。
この「お客様の感謝」こそがコールセンターにおける最大の「楽しみ」そして「やりがい」だと思います。
是非、これからコールセンターで働こうと考えているみなさんも、お客様からのダイレクトな感謝を味わってみて欲しいと思います。